「この一行に逢いにきた」
ことしの読書週間がはじまっています。開催期間は10月27日(日)から11月9日(土)の2週間。冒頭のコピーはこの運動のことしの標語に選ばれました。
主催者の公益財団法人読書推進運動協議会が発表した開催趣旨書によると、「この数年で、電子図書館サービスや学校教育におけるタブレットの活用が進み、読書環境が大きく変化してきました。その一方で、対面での読み聞かせや読書会の魅力、書店や図書館でリアルに本を選ぶ楽しさも再認識されています。図書館での各種行事、「BOOK MEETS NEXT」など出版界・書店によるイベントを通して、「読書週間」が紙・電子を問わず、本を通じて人とふれあい、世界が広がるよろこびを、多くの方に実感していただく機会となることを願います。」とあります。
IT先進国のスウェーデンではデジタル教材への移行が進んだ。しかし学習への悪影響があるとして昨年から紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に大きくかじを切ったとの報道がありました。教師がデジタル端末の使用を前提に授業を続けたところ、子どもたちの集中力が続かない、考えが深まらない、長文の読み書きができないーといった弊害が目立ち始めた。子どもの学力を測る国際学力調査でも成績の落ち込みが目立つようになっており、OECDによる22年の国際学習到達度調査でも「読解力」と「数学的応用力」「科学的応用力」のすべてで18年の前回調査から順位を下げたとのことです(2024.10.22読売新聞)。
もはやデジタルデバイスで本や文字を読むことは当たり前になっていますが、本を読む「筋肉」を付けるには紙の本を落ち着いてじっくり読む習慣が欠かせません。紙の本では「眼」「耳」「鼻」「舌」「身体」の五感を働かせながら読書をします。運動をして起こる筋肉痛がそれを継続することによって和らぐように、読書も習慣化することによって「筋肉」が付いてきます。読書週間を機会に、ぜひこの一冊、この一行を見つけてみたらいかがでしょうか。
