新刊「江戸幕府の絵図からみた初期松江城」では、「松江城正保城絵図」(乙部家蔵)での新しい知見を掲載しています。
『松江市文化財保護審議会(会長・佐藤信東京大名誉教授)が5日、松江城の構造や城郭周辺の地形情報がよく分かる「松江城正保年間絵図」を、松江市指定文化財にするよう上定昭仁市長に答申した。』という記事が山陰中央新報2024年2月6日に掲載されました。
ハーベスト出版の新刊「山陰文化ライブラリー19 江戸幕府の絵図からみた初期松江城」では、この「出雲国松江城絵図」からみた初期の松江城について、さらにその控え図とされる「松江城正保城絵図」(乙部家蔵)との比較など、最新の研究成果と知見が詳しく述べられています。
幕府に納めた「出雲国松江城絵図」(国指定重要文化財)は、正保年間に幕府の威信をかけて行われた国絵図事業で集められた当時の国の基本図といえるもので、国立公文書館に納められています。
いっぽう、今回松江市に答申された「松江城正保城絵図」(乙部家蔵)は、大きさが縦326.5センチ、横288センチで、城郭の構造や外観が色付きで精密に描かれ、文字で本丸の部屋数や石垣の高さ、堀の深さなど軍事情報が書き込まれています。
両図には若干の違いがみられ、その比較も本書の中で考察されています。松江城研究を進めるうえで、この絵図が伝存していることは幸運なことでした。城郭ファンの方はぜひ本書を手に取ってご覧ください。